土田和彦さん
株式会社トラジ取締役
焼肉トラジ https://corp.ebisu-toraji.com
「鮪のシマハラ」には、とても共感を覚えます。僕が創業期から携わっている「焼肉のトラジ」と、社風がよく似ているんです。ともに、素材勝負。僕らが、精魂込めた焼肉をお客様に提供し、焼肉って美味しいでしょう!ということを知らしめたいのと同じで、島原さんの思いも、ともかくマグロのうまさを伝えたい。そこに尽きるんだと思いますね。だって、本マグロとインドマグロの刺身6点盛りが980円ですよ。自慢のマグロだ、まずは食ってみてくれよ、と赤字覚悟の真っ向勝負で出している。スタッフにも、マグロが好きじゃないと、マグロ売っちゃダメだよくらいな気持ちが浸透していて、暖簾をくぐると料理はもちろんトークまで、そこはもうマグロワールド一色なんです。
3年前、彼が上海で飲食ビジネスを展開しているとき、マグロの次の事業として焼肉のFCをやりたいと、我が社にオファーをいただきました。でも、そもそも我が社は大量出店というよりは、価値ある店をじっくり作りたい。そのためには、誰とやるかのほうが重要でした。その点、島原さんには初対面でガツンと来るものがあった。なにしろ、あの風貌。話せば話すほど、図抜けたパワー、論理立てて目標に突き進む信念と頭脳に惹かれて、こういう人なら、変な話失敗してもいいかな、と。結局、FCの話は頓挫しましたが、それ以来、個人的なおつきあいが続いています。ビジネスだけでなく、俺はこうやって生きていくんだという明快な人生論にいつも刺激を受けるのですが、なかでも印象的だったのは「9勝6敗」の話。彼は、ずっと勝ち続けることはできないと言うんです。でも9勝すれば6敗しても、それを積み上げれば、成功に繋がっていくんだと。その考え方が新鮮で、ビジネスを考える上でも、肩の力が抜けて楽になりました。
マグロに特化するということは、焼肉で言えば「カルビ」に特化するようなもの。そのくらい尖りきったカテゴリーです。リスクはある。でも、化けたらすごい。「マグロ食べに行こうぜ!」という大衆の空気をいったんつかめば、「鮪のシマハラ」はマグロで飲食業界の風景を確実に変えていくのではないでしょうか。僕は、よほどのことがない限り、彼は必ず成功すると思っています。だから、いまはまだ立ち上がったばかりで苦しいだろうけれど、スタッフの人たちも迷わず彼の勝負に乗ったほうがいい。きっと、人生の幅が広がります。